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今日は兵庫県立美術館でボランティアの解説ツアーをしていました。
2012年度のコレクション展1は 「美術を見る8つのポイント」と題して 近現代の美術を見る上で役立つ鑑賞ポイントを設定して 8つの部屋に分けて作品を紹介しています。
Point1 「一番リアルな絵はどれ?」
Point2 「イズムをよみとれるか?」
Point3 「どんな事件/体験? どんな記憶/記録?」
Point4 「どんな動きがかくれている?」
Point5 「どれが一番モダニズム?」
Point6 「どんな考えか考えてみる?」
Point7 「何のイメージ?」
Point8 「景色をどう切りとるか?」
(Point1~7は1階展示室 Point8は2階展示室6)
今回のコレクション展は このテーマにそって作品を見ていくとかなり面白く 新しい発見があります。
そして今日から特別展の 『日本の印象派 金山平三展』が始まりました。
この展覧会 待っていました。
「金山平三」という画家 ご存知ですか?
日本の美しい風景を巧みな表現力で描いた画家ですが あまり知られていないかもしれません・・・・
神戸出身で東京美術学校(現東京芸術大学)を首席で卒業 答辞を読む程優秀な生徒でした。
教えを受けた黒田清輝にも大変可愛がられた弟子でした。
ちょうど 同じ神戸出身で同じく首席で卒業した小磯良平の20年先輩に当たります。
小磯は大変有名ですが 金山のネイムバリューが低いのはなぜか・・・・
そこを探っていくと この金山平三という画家が少し見えてくるのかもしれません。
上の作品は 留学中に描かれたものです。
大きな林檎の木の下の暗さと 腰をかがめて林檎を拾らおうとしている女性の向こう側の明るさの対比が美しく 光を感じさせる作品です。留学中に当時ヨーロッパで流行っていた印象派の影響を受けて描かれたものですが 師である黒田清輝の影響も受けています。
これは金山平三の代表作 『大石田の最上川』です。
雪の積もった遠景の山々をふんわり描き 早春の水が滔々と流れる川面を美しい色彩で表現しています。
『洞爺湖』です。金山平三の作品は高台から見下ろす構図が多く 横への広がりがあって画面が安定しています。
金山平三は中学・高校時代は大変やんちゃで 何度も学校を転校したそうです。
ところが東京美術学校では首席になるほど頑張ります。
一途になるととことんやる性格・・・・意志の強い人物だったようです。
それは絵を描くときにも現れます。
現場主義・・・といって 金山は必ず実際の風景を見ながら常に描き続けました。
毎日同じ場所にイーゼルを置いて同じ風景に対峙して描きます。
描ききれないと 翌年同じころ同じ場所でまた続きを描いていく・・・・という一つの作品が完成するまで何度も足を運びました。
ですから金山の作品には製作年月日がはっきりしないものがたくさんあります。
冬の雪景色をたくさん描いたので 当時はホッカイロもなかったでしょうから その寒さは大変なものだったと思います。強靭な精神力だったというのがわかります。
雪を描くというのも 「白」というのは単調で大変難しいと言われていますが 金山は 雪解けのころの雪か 厳冬期の雪か・・・・雪の状態を描き分けられる程の技術がありました。
絵の具にもこだわり 「100年後200年後に自分の作品が評価される時 油絵具の劣化で正当に評価されないのは悔しい・・・」と語るほどでした。
中央画壇とは一線を画し 孤高の画家と呼ばれましたが 生活費のために絵を描くという画家ではありませんでした。
「描く」ことにこだわり続けた画家・・・・自画像は少ないのですが 威圧するような強いまなざしが印象的でした。
私は始め金山の絵にはほとんど関心がありませんでしたが
知れば知るほど 見れば見るほど・・・・
好きになっていました。
美しい色彩の絵です。
お時間があればぜひご覧ください。
『日本の印象派 金山平三展』兵庫県立美美術館
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